人生諦めなくていい。

「私、人生諦めなくていいんですねえ・・・」
という言葉が心に沁みて、これからの人生をこういうことに費やしていきたいと思う自分に気付かせてもらったお話です。
よかったらお付き合いください。

10月後半に初診でいらして、初診と2回目は、腰の痛みが強く(正しくは仙腸関節あたり)自力で歩けず、ご家族の介助によっていらした女性がいます。
3回目の日は、ご自身の足で歩いて来られました。
4回目には、もっと軽やかにいらして、施術後には曲がっていた背骨の曲がり具合が緩やかになり「先生の顔が近くなりました!笑」「背骨が伸びて身長も高くなりましたね」と2人で笑い合いました。

「私、人生諦めなくていいんですねえ・・・」
この言葉は3回目の施術の後の彼女の言葉です。
安心した彼女からこぼれた、心の声だったのだと思います。
施術させていただいた私も感動しました。

閉経後から急激に背骨が曲がってしまい、ワケもわからず、歩くのがしんどくて自然と歩かなくなった事で更に骨粗鬆が進み、ますます変形がひどくなり、とうとう歩けないほどの腰痛に見舞われたとのこと。
病院では大した説明もなかったようです。
背骨を戻すには背骨の骨(椎骨と言います)一つひとつに金具を付けて固定していく手術しかないと言われ、
「リスクもありますよ」
とも言われ、そんな怖い事はしたくない、でもどうしたら良いのかわからない。このまま歩けなくなるのでは・・・と気持ちも沈み、人生諦めるしかないと思っていたそうです。

でもお体に触らせていただくと・・・
「とてもいいお体をされていると思いますよ」
実際にそうだったから。
確かに背骨は胸椎(お胸の部分)が大きく後ろに曲がっていて、腰椎(腰ですね)にあるべきカーブがない。だからその影響でお通じも出にくいし、足も血流悪そう。
だけど、筋肉はしっかりついているし、踵も足首も地面をしっかり踏みやすそうな感触。
「手術する」という選択肢の前に、出来る事やれる事がまだまだある。

その証拠に、たった2回の施術で自力で歩いて来られるようになったじゃないですか!

最初にいらした時は黒かった顔色もどんどん良くなって、痛みが取れたことで表情も柔和に。
ご家族とご友人に「顔の色が変わった」と言われたそうです。
顔の色が黒いのは「腎」という氣が大きく不足して弱っているから。
腰、骨、耳、歯、髪・・・
彼女の症状が出ている場所は全て「腎」に関わるところ。
腎の脈も弱い。脾も弱いので、食べたものを上手に氣血体液に変えられていないのでしょう。
だから「腎」と「脾」の氣をバンバン補うお灸や鍼を。
腎の氣を高める食材についてや、過ごし方についてもお話をしています。

「私、人生諦めなくていいんですね〜」
「もちろんです!!諦める理由がないし、絶対に体は変わります」

大丈夫。
生きていれば体は変わります。使い方を正しい方に導いてあげれば、もっともっとラクに毎日を過ごせるようになる。
やりたい事をできるようになる。
幾つになってもできるだけ美しい姿勢でいられる。
自分で変えていける。

私はそう信じて施術とエクササイズ指導をします。
患者さんにも、そう信じてほしいと伝えます。
ここに来ると決めた、ご自身の選択と決断を信じ切ることはとても大切です。結果に大きく影響します。

「治すこと」にフォーカスするのではなくて「良くなった時の姿を想像して、何をしたいか」を考えてもらいます。
何故そうなったのかということを振り返り考えてもらいます。
病気や怪我は悪いものではなく、人生を良くするチャンスなのだとお伝えします。

「人生を諦めなくて良いんですね」
まや温灸院に来て、もしそんなふうに思っていただけるなら、こんなに嬉しいことはありません。
今困っている症状から抜け出して、人生を自分のものとして一歩を踏み出したい人に、寄り添い応援する人になりたい、そういう場所を作りたいです。


※エストロゲンという女性ホルモンはカルシウムの骨の新陳代謝に際して骨吸収をゆるやかにして骨からカルシウムが溶けだすのを抑制する働きがあります。
閉経後の背骨の変形や骨粗鬆症は、そのエストロゲンの分泌が減る影響が大きいです。
踵からの刺激によって骨を形成するホルモンが分泌されるので、日々しっかりカルシウムを摂って歩く事を心がけましょう。甘いものはカルシウムの吸収を妨げるのでご注意を。