乳がんの手術をされた方へのお灸

10年以上前に乳がんで全摘出をされた方へのお灸を試みています。

鎖骨部から胸部にかけて、手術をしていない側と比べると明らかに硬さがあります。
むくみはありませんが、リンパ・血液・気の流れの滞りがあるからでしょうか。
逆に反対側はふにゃふにゃと柔らかく力がありません(東洋医学では虚といいます)。
左右でのバランスが崩れている状態は、さまざまな不調を起こします。

できるだけ左右差を取り除きバランスを良くするために棒灸を使って調える施術をします。数カ所お灸をしていくことで、ふんわりとした感じが少しずつ戻ってくるので、人の身体はすごいなあと施術をしながら思います。

    

胸の真ん中あたりを触ってみてください。硬い骨があります。胸骨といいます。
胸骨の裏側付近には胸腺があります。

胸腺は「T細胞」という免疫細胞を作り出す場所です。
私たちの身体を守ってくれる免疫細胞は主に骨髄で生まれます。T細胞は骨髄で生まれた後に胸腺へと運ばれてそこで育ちます。
T細胞には抗原を直接排除する「キラーT細胞」、マクロファージなどから抗原の情報を受け取り抗体を作るよう指令を出す「ヘルパーT細胞」などがありますが、すべてのT細胞が胸腺で作られます。

そんな大切な役割を持つ胸腺ですが、成人期をピークに、加齢とともにその働きは落ちていきます。
それを踏まえて、胸腺の表側にある胸骨に、お灸の温熱や優しい圧で刺激を与えて免疫力を少しでも高める施術も行います。